はじめに
OpenAI Gymは、強化学習アルゴリズムを開発、比較するためのツールキットです。
OpenAI Gumには、environmentsと呼ばれるテスト問題のライブラリがあります。強化学習の開発者は、このライブラリを利用することで、対象の問題やゲームのロジックを開発する必要がなくなり、強化学習のみの開発に集中することができます。
OpenAI Gymはpipコマンドで簡単にインストールすることができます。しかし、導入する環境のPythonのバージョンが古かったり、他の検証などで利用している場合、Pythonやライブラリのバージョンを変更しなければなりません。
本記事では、OpenAI Gymを独立した環境で検証するために、pyenvとvenvを利用してインストールする方法を紹介します。
この記事を読んで、できること
pyenvとvenvを利用したPythonの仮想環境にOpenAI Gymをインストールすることができるようになります。
検証環境
- macOS Catalina 10.15.3
- MacBook Pro (13-inch, 2017, Core i5 2.3GHz, 8GB Mem)
OpenAI Gymのインストール
OpenAI GymはPythonで作成されています。Python3.5以上の環境が必要なります。OpenAI Gymをインストールするための大まかな手順は、以下の通りです。
- pyenvをインストールする
- pyenvで新しいPython環境を作る
- venvで仮想環境を作る
- OpenAI Gymをインストールする
pyenvで新しいPython環境を作る
すでにあるPython環境のバージョンと競合を起こさないように、pyenvで新しいPython環境を作ります。
はじめにPythonのバージョン管理をするpyenvをインストールします。ここではmacOSのパッケージマネージャであるHomebrewを使ってpyenvをインストールします。
% brew update% brew install pyenv
pyenvをインストールしただけでは、pythonコマンドのパスはOSデフォルトのパスを示したままになっています。
% which python
/usr/bin/python
pyenv initコマンドをユーザーのシェルで実行することで、pythonコマンドのパス変更とシェル補完を有効にすることができます。
今回ユーザのデフォルトシェルはzshなので、~/.zshrcに設定を行います。
% echo -e 'if command -v pyenv 1>/dev/null 2>&1; then\n eval "$(pyenv init -)"\nfi' >> ~/.zshrc
% source ~/.zshrc
もう一度、pythonコマンドのパスを確認してみます。
% which python
/Users/XXXX/.pyenv/shims/python
pyenvが制御するパスに変更されました。
pyenvのインストールが終わったら、Pythonをインストールします。OpenAI GymはPython3.6以上のバージョンが必要です。ここではPython3.8.2をインストールしました。
% pyenv install 3.8.2
Pythonのインストールが完了したら、OpenAI Gymのプロジェクトディレクトリを作成します。
% mkdir Gym
プロジェクトディレクトリに移動して、pyenvで利用するPythonのバージョンを設定します。
% cd Gym
% pyenv local 3.8.2
Pythonのバージョンが正しく設定されたか、確認をしておきましょう。
% pyenv version
3.8.2 (set by /Users/XXXX/Projects/Gym/.python-version)
% python --version
Python 3.8.2
正しいバージョンを利用するように設定されました!
venvで仮想環境を作成する
OpenAI Gymはpipコマンドでインストールをすることができます。既存のPythonパッケージとの競合やバージョンの不一致を避けるために、OpenAI Gym用の仮想環境を作成します。仮想環境はvenvで作ります。
プロジェクトディレクトリでvenvコマンドを実行します。
% python -m venv env/gym
仮想環境を有効にするためにアクティベートを行います。
% source env/gym/bin/activate
アクティベートをすると、プロンプトの先頭に仮想環境名が追加されます。
(gym) %
OpenAI Gymをインストールする
OpenAI Gymをpipコマンドでインストールします。
(gym) % pip install gym
インストールされたパッケージを確認しておきます。
% pip freeze
cloudpickle==1.3.0
future==0.18.2
gym==0.17.1
numpy==1.18.2
pyglet==1.5.0
scipy==1.4.1
six==1.14.0
以上でOpenAI Gymのインストールは完了です。
おわりに
OpenAI Gymは、強化学習のアルゴリズムを開発、比較をするためのツールキットです。本記事では、macOSにOpenAI Gymをインストールする方法を紹介しました。
- pyenvでPythonのバージョン管理を行う。
- venvでPythonの仮想環境を作成する。
- pipでOpenAI Gymをインストールする。
OpenAI Gymはpipでインストールするだけなので、とても簡単に導入することができます。